持っていると「交換したくなる」もの(例えばお金)に、経済価値はある。

または「それについて話題にしたくなる」もの
(美しい俳優や、汚職した政治家が起こすスキャンダルなどが、経済行為を促す)。

価値あるものと交換可能なのに、
それ自体には価値のないもの(有価証券など)が、
より有利な交換を生み出す。

一見すると無価値でまだ人に知られていなかったり、
一定の価値は認められているが「私にだけ、その本当の価値が分かる」ものは、
より話題にのぼりやすい。

多様な解釈を許す芸術が「名作」と呼ばれ高額な金銭と交換されたり、
賛否入り乱れ論議を生む「スキャンダル」が大きなお金の動きを生み出すのは、
多義的な存在について
「私もひとこと言いたい(そして自分の存在を確認する快感を味わいたい)」人を
たくさん生み出すから。

「お金が動くから、人が動く」というロジックは、ある程度までは有効だけど、
本当は「人が動くから、お金が動く」のだということは、
メディアの宣伝が失敗したケースなどを見ているとよく分かる。
お金だろうと工夫だろうと熱意だろうと
「人が動きたくなる」仕掛けができれば、お金は動く。

そうすると「話題にしたくなる」ことは重要で、
例えばモテたい人は「友達に話したくなる存在」になることを意識したら、
よりモテるようになるのではないか。
自慢まで行かなくても良いので、前向きに話題にしたくなる存在。
恋人じゃなくても俳優でもビジネスでも、モテる人は「話題にのぼる人」。

「一部の人が知りたい話題を提供する人(通)」よりも
「誰もが知りたい有益な話題を、より早く提供する人(情報屋)」よりも
「誰もが知りたい普遍的な話題を提供する人(哲学者/宗教家)」よりも
「自分自身が話題にされる人」が、
優位に立っている。

「何かと何かを取り替えたいという欲望がもっとも亢進するのは、
そこで取り替えられつつあるものの
意味や価値がよく分からない時なのです。」
内田樹

わからないけれど、何か心に響く。
どうして、そういう文章が読者に強く、深く触れるかというと、
そこに読者に対する信頼があるからです。
内田樹

人を魅きつけるもの、それは
「価値」や「意味」や「有用性」ではなく「謎」である。

ミステリアスな存在こそ、関心をひきつけ、話題にのぼり、
コミュニケーションや経済の流通を促す。

プレゼントは、その包みが解かれるサプライズの瞬間に、歓びが最大化する。

「分からない話」よりも「分かる話」よりも「分かりそうな話」が面白い!
「勝てない賭け」よりも「勝てる賭け」よりも「勝てそうな賭け」が面白い!

信頼に基づく「なぞなぞ」の原型はもしかすると「いない、いない、ばあ」かな?

何を贈られるのか知らない、
でも相手を信頼しているという意味で、
私たちは、何を贈られるのか、知っている。

「なになに? 何をプレゼントしてくれるの?」
これがコミュニケーションの歓びの原型かもしれない。

「いない、いない、ばあ」って、赤ちゃんは飽きずに何度も繰り返し喜ぶ。
あれは信頼を受け取っているんだな…。
眠る前に「何か、お話しして」というのも、同じだな…。

中身は何でも、知ってるものでも、つまらないものでも、
相手が自分に贈り物をしてくれることが、嬉しくて切ないのだ。

https://twitter.com/#!/casiomasasi

Similar Posts: